2017年1月10日火曜日

朝ドラ『べっぴんさん』の作られ方 (2)

終戦直後、麻田はすみれが金に困っていることを知り、店の一部を貸してくれた。そのきっかけになった写真入れは、ベテランの職人である麻田の心を動かす程の出来には見えなかった。単なる同情だったのだろうか?普通、麻田は子供か弟子を戦争でなくし、その代わりとしてすみれに肩入れにすることになった、とか動機付けを補強しそうなものだが、そんなことは一切やらなかった。色々と考えてしまったが無駄なことだった。好意や幸運はすみれめがけて勝手にやってくるのだ。

紀夫が復員して来るまでの間、すみれの番犬のような役をしたのは栄輔。すみれに惚れたという設定だった。栄輔なら他の女にいきそうなものだが、まあ、好きになるのに理由はいらないので、これでもいいのだろう。だが、あくまで番犬扱いであるから、男として全く見られていなかった。だから喜代もすみれも栄輔を家に泊めることに何ら躊躇はなかったのだ。紀夫が戻って来た時点でお役御免となり、栄輔は誰にも何も告げずに去ることになる。結局、すみれにとって都合のいい番犬でしかなかった。

キアリスの大急出店もまた勝手に転がりこんできた幸運。すみれ達はボーとしていてガツガツと金を稼ぐようなキャラでないことが、渡りに船みたいに見えるのを多少減殺しているのかもしれない。社長夫人がキアリスの商品を気に入ったおかげで社長の独断で大急への出店が決まったようだが、これも都合のいい話。さらに話が進むにつれ大急社長はポンコツにされていく。小山程度の社員しか持てず、ゆり如きに言い負かされるのだから、なかなかのダメ社長だ。このドラマは話が進むにつれ、誰かがポンコツにされていく。

このようにすみれにとって都合の良いことが次々に起きた。それは単にすみれだから、という以上の理由はない。これだけでも『少年ジャンプ』的主人公と共通しているのが分かるが、まだ他にもある。

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