2017年2月22日水曜日

『カルテット』 第6話



今回はクドカン主演のドラマになっていた。番組が終わった後、別ドラマの予告で阿部サダヲが出てきて、どんだけ大人計画に染まってるんだよ、となるし、『マツコの知らない世界』に続いて『カルテット』を観ると、松たか子を松マツコと言いそうになったり、火曜日はカオスになる(笑)。

■ 真紀と幹生

二人の出会いから幹生が失踪するまで、交互の視点から描かれた。これまでもエンド・タイトルに本編が食い込んでいたが、今回はとうとう完全に4人が歌う映像が無くなった。そこまでしても、二人のことを出来るだけ細かく描写したかったのだろう。

幹生は結婚しても恋人気分でいたいと願い、真紀は家族ができた幸せを噛みしめるため、ヴァイオリンを捨てる。そんな二人が少しづつずれていく様子が描かれた。幹生の気持ちは真紀と出会って凧のように舞い上がったが、風が止めば凧は落ちる。好きな詩集や映画を真紀とは共有できない。特別な人に見えた真紀は、ヴァイオリンを止めてどんどん普通の主婦になっていく。真紀にとってそれは幸せのカタチだったが、幹生にとってはそうではなかった。会社での立場からも分かるように、幹生もまた不器用な人だ。

そんな幹生が唐揚げにレモンをかけるのがイヤだったことを真紀は知ってしまう。そうした小さなことでさえ自分に言ってくれてなかったのだとショックを受ける。マキマキになってもいいと思って結婚したのに。二人はお互いにすれ違っていることを認識して話し合おうとするが、結局二人とも逃げてしまう。

ささやかな嘘が人を大きく傷つけることがある。真紀がベンジャミン瀧田の嘘に嫌悪感を見せたのも、幹生のことがあったからだろう。

■ 捕獲

家森は逃げ出した「青いふぐりのサル」をバイトで探しに行くが、ケージだけ持ってウロウロしている。絶対ノープランだ(笑)。家森と幹生は病院でバナナを食べていたので、順当に行けば「逃げ出したサル」とは幹生のことでもあり、家森が捕まえることになるのだろうが、果たして...

家森がサルを捕まえに行く様子はメーテルリンクの『青い鳥』をちょっと思い出させる。この中に出てくるのはチルチルとミチル。マキマキとミキオに何とな~く似ている。あくまで、何とな~く、ね(笑)。

サルを捕まえようとしている家森とは対照的に、別府は会社の倉庫に閉じ込められる。誰かに捕獲されてしまったかのようにも見える。すずめも拘束されて動けなくなっている。てっきり幹生が警察に通報されないようにそうしたのかと思ったが、次回のあらすじを見ると含みがあるようだ。最後の部分は時間的に飛ばされていて、次回全貌が明らかになる、ということだろう。

有朱が別荘に入れたのは、家森を騙して鍵を奪ったのだろうか?真紀のヴァイオリンを盗むが、大事そうに抱きかかえたりしたところを見ると、売り飛ばして金にしようということではないらしい。有朱は幹生と揉み合いになり2階から転落。別府、すずめ、有朱の3人が同時に身動きできなくなったのは、何か意味があるのだろうか?

■ 幹生とすずめ

今回も触れられたが、幹生は平熱が高い。冷たい物が好きだったり、演奏のときに靴下を脱いで裸足になってしまうすずめも平熱が高いのではないか?二人の関係性が気になるところだ。すずめがサロペットの胸ポケットからスマホや体温計を取り出すのは、ドラえもんみたいで面白かったが、幹生がすずめの前で懺悔しているような姿は、『ごめんね青春!』を思い出してちょっと面白かった。

■ 富澤たけしと八木亜希子

谷村夫婦の場面は、だいたいコントや漫才の延長みたいになっている。もちろんサンドウィッチマン・富澤に合わせて脚本を書いているからだが、おかげで八木亜希子が巻き込まれた形になってしまっている。もっと出来る人なので勿体ない気がする。ただ、富澤も厨房で料理作ったり、誰かに「早くしろ!」とか怒鳴っている様子が想像できて、雰囲気はそんなに悪くないと思う。

■ クドカンと『あまちゃん』

今回は全般的にシリアスだったが、それでも遊び心は忘れない。クドカンが『あまちゃん』のロケで使われた秋葉原や谷中に現れたり、真紀と幹生の最初の出会いがタクシーだったりする。春子がたまたま正宗が運転するタクシーを止めたのが最初の出会いだった。もし「太巻」というあだ名だけ聞かされてどういう人か想像すると、真紀を一緒にタクシーに乗せた幹生の同僚みたいな人じゃないかな?同じような眼鏡もかけてたし、タクシーが「寿司詰め」状態にもなった(笑)。

別府が倉庫に閉じ込められたときの既視感は、『あまちゃん』で震災が発生したとき、ユイがトンネルの中で北鉄に閉じ込めれたのを思い出したからだろう。このときユイはケータイのバッテリーが切れそうだと言っていた。とても良くないことが起きてしまった雰囲気が漂う。

今回クドカンが主演状態だったのは、これだけでも快挙のような気がするが、作り手の最大級のリスペクトの表れだろう。次回も出番は多そうだし、どこまで『あまちゃん』のオマージュが入ってくるかも楽しみだ。

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