スミレ達はデパートにお店を開きましたが、誰一人寄り付きませんでした。新聞に広告が出たはずなのですが、誰も見てないのしょうか?それともコヤーマが邪悪な呪いをかけたのでしょうか?新しいお店なのですから、買わなくてものぞきに来る人くらいいてもよさそうです。きれいな店員さんを眺めにくる、おじさんさえいませんでした。
困ったスミレは考えました。「そうだ、心のこもったポスターを作って、街中に貼りだそう」と思いつきました。早速仲間たちとポスターを作り出しましたが、ひとつひとつ手で描いているので、とても時間がかかりそうです。スミレは、体の弱い君枝には魔女特製の元気の出る薬を与え、良子には「CD買うから」と囁き、時々文句を言う明美にはパンチをくれてあげました。
小学生が作ったようなポスターを見て、スミレは不安になりました。「これくらいでお客が集まる程、世の中って甘い?」スミレはポスターに魔法をかけることにしました。「ナンカナンカナ!」と、とっておきの呪文をかけました。
ポスターを街のあちこちに貼り出すと、どうしたことでしょう。お客さんが大勢お店に来るようになりました。子供がいない人まで子供服を買って行きました。適当な絵を描いた弁当箱もたくさん売れました。「たっくさん、たっくさん」と、スミレは感激し、仲間たちと喜びを分かち合いました。
さすがは霊界からメッセージを送り続ける母親を持つスミレです。侮れません。ホウキにまたがれば、きっと空も飛べるでしょう。
マットハズレー作「魔女の大急便」より
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