2017年12月13日水曜日

『監獄のお姫さま』第9話

 おばちゃん達の正義はお節介の延長線上にあるものなんだね。今回も思いついたことをダラダラ~と書きます。メンソール!(笑)

みかんの少女
 海外ドラマ『LIFE』は、無実の罪を着せられ、投獄された刑事が復讐を果たすドラマだったが、その刑事は出所してからいつもフルーツを食べている、という設定だった。なんでも刑務所では一切フルーツが食べられなかったら、固執するようになったとされていた(投獄されたことと復讐の象徴なのだろう)。
 日本の刑務所事情は分からないが、似たような状況なら(ドラマではショートケーキのうっすいイチゴは出てきた)、馬場カヨ(小泉今日子)が入所直前の護送中、手錠をされていて少女からもらったミカンを食べられなかったのは、彼女はもはや世間から離れたところにいることを象徴していたように思う。少女の母親は馬場カヨが護送中であることに気付いたようだが、出所してきた彼女に気付いて挨拶さえしようとしたのは、この母親は人を差別的に見ない人なのか、それとも馬場カヨが犯罪者に見えず、よほどの事情があると思ったのか... とにかくこの親子と再会することで、馬場カヨが世間に戻ってきたことを上手く表現していたと思う。

愛がむきだし
 若井ふたばが吾郎にキックをかました時も園子温監督の『愛のむきだし』を思い出したのだが、今回は完全に満島ひかりがその映画に出てきた格好をしてたね。刑務官になったものの、囚人側から壁を作られていくうちに、自分からも壁を作るようになっていたのだろう。その壁を壊したのが馬場カヨで、今回は姫たちへの愛がむきだしていた。

チビ社長
 どうやら板橋吾郎(伊勢谷友介)が元チビ社長だったらしい。最初にチビ社長が本当の社長になったのかな?と思ったが、いやいやそんなストレートなことやらないでしょ、というのと、江戸川乳業のCMや「ごはんの歌」がすごく古いものに感じたので、年齢的には護摩所長が合ってるように思えた。
 吾郎は人の心を操るのが上手いらしい。江戸川しのぶ(夏帆)とその母親もまだマインドコントロール下にあるようだ(催眠術で操られているような感じさえする)。たぶん吾郎は相当昔から江戸川乳業に恨みを抱いていて、それが乗っ取りの動機になっていたような気がする。
 勝手に予想しているのは、吾郎と『カルテット』のすずめ(満島ひかり)を繋げるようなことをするのではないか、ということ。すずめは子供の頃、父親の詐欺の片棒を担がされ、「魔法少女」と呼ばれていた。その後も世間から後ろ指をさされ続けることになった。吾郎も子供の頃に大きな傷を受けたような気がする。

虚像と実像
 毎回書いているが、このドラマでは虚構と現実が交錯する。今回観ていて思ったのは、虚像と実像がごちゃ混ぜになっていて、その境が無いに等しい、という言い方でもいいのかな、ということ。
 今回は財テク(菅野美穂)が吾郎の元恋人・横山ユキ(雛形あきこ)になった。これまで吾郎が誰かの回想で登場してきたように、誰かを演じる、というよりも、その人そのものになる。虚像である筈のものが実像になると言っていい。そして吾郎は晴海(乙葉)に自分はお前の思ってるような人間ではない、と言う。普段見せているのは吾郎の「虚像」で、最終回にその「実像」が姿を現すのだろう。

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